2016年12月25日日曜日

ZX-10R ECUリセッティング Auto Tune 200psオーバー(クランク軸推定値)

1.はじめに

僕のZX-10Rは東南アジア仕様だけど既にECU書換によりいわゆる“フルパワー化”済。今回は、ZX-10RのエアクリーナーをBMCのレーシングタイプ(要燃調セッティング)に交換したのに合わせて実車合わせでECUのリセッティングをしてもらうことにしました。再度、MotoJPさんへ施工をお願いしました。シャシダイはNAP'S幸浦のFUCHSテストベンチを使わせてもらいながら、リセッティングです。

注)今回のシャシダイはDynojetのものではなくFUCHSテストベンチで出てくる数値はあくまでクランク軸推定値です。(hp:英馬力、ps:仏馬力で1hp=1.01387psで換算できます。つまり仏馬力の方が数値としてはちょっと多めに出ます。)

BOSCHのワイドバンドのO2センサーをエキパイに取付してもらって、ECUも外さずとも書換が出来るように施工してもらいました。今後、再書換が必要になった場合でも次回からはエアクリーナーBOXを開けずとも書換が出来るそうです。あとは、僕にはよく分からないデータロガー等多くのセンサーを取り付けてもらいました。


毎度お願いするのが申し訳なくなるような位置(エアクリーナーBOXの中)にECUがあるのでタンクを降ろして、エアクリーナーBOXを開けて、という作業をお願いするのだけれど、ECUのコネクタに細工をしてもらって、シート下にまで書換ツールをつなげるコネクタを敷設してもらいました。

O2センサーも純正でついているナローバンド(12㎜)のものではなく、ワイドバンド(18㎜)のO2センサーを取り付けてもらいます。ナロー(狭い)とかワイド(広い)は大きさではなく空燃比が理想空燃比である14.7付近の狭い範囲で、濃ければ薄くする方へフィードバックをかけるのがナローバンド、また12~13と言った14.7よりも濃い方向(もしくは薄い方向でも)でも広い範囲で計測できるのがワイドバンドのセンサーです。パワーが出るのは14.7よりも濃い範囲なのでこういったワイドバンドのO2センサーが必要になります。

装着されたワイドバンドO2センサー(奥にぶらさがってるのがナローバンドのです)
ECUから引っ張ってきたケーブルに書換ツールとかデータロガーとかてんこ盛りに接続です。


2.シャシダイにかけて実態を知る

まずは前回の書換でやった内容が理想値とどれくらい離れているかという現状を知るためにもシャシダイにかけます。準備が整ったところで、シャシダイに乗せてパワーと空燃比のチェックをします。

シャシダイ=シャシダイナモという言葉の通り、これは車輪でモーターを回してその発電量でどれだけの仕事をしたかを計測する装置です。外からモーターをぐるぐる回すと手回し発電機になる。乱暴に言えばそれと同じ。もっとも、走行時の負荷なんかを再現するための工夫はされているようです。

計測器には誤差もあるし、前回パワーチェックをしたのはDynojetのシャシダイで今回はFUCHSなので、全く同じ比較は出来ないと思います。 だけど、ECUの現状と再書換後を比較することでどれだけの馬力が上乗せされるか、という比較は出来るかと思っています。

準備が整ったところで・・・。

ほんじゃまあ!!ブァーッと行ってみよ!



一発目のテストでは196.8hp(仏馬力だと199.5ps)が出ました。データロガーを取り付けているので、PC上でロギングしたデータを再生することも可能だそうで横で見せてもらいました。空燃比はほとんど全域で濃すぎたので、ここからマージンを削って薄めに補正していきます。ラムエアが効くことも考慮して高速域で空気量が多くなっても燃料が足りなくならないように薄くなり過ぎないようにセット。


ダイナモ室に入ってみたけどとても煙いです。全開で走らせてるんだからその排ガスがあるので当然ですね。MotoJPさんによる再書換を実施してもらいます。再書換時にはリレーがカチカチ言ってます。

3.2回目、3回目のシャシダイ

この後はデータを取った後、再書換をしてを繰り返して、もうこれ以上、馬力も上がらないというところまで補正してもらいます。一度目の書換後で202.8hp(205.6ps)、二度目の書換後で201.0hp(203.8ps)まで上がりました。ターゲット空燃比はチューナーさんのノウハウだと思うので、ここでは秘密。ただ、二度目より一度目の方が濃かったです。そしてトルクカーブは二度目の書換の後の方がスムーズなので、ピークは少し落ちるけれどもこちらをメインにしてもらうことにしました。

あとは実走データもロガーで取って(これは本当に街乗りレベル)、それを反映した内容で書換をしてもらいました。全開にはとても出来ていないわけだけれども、エアクリーナーを変えてから開け始めのところが何となくギクシャクしていたのが無くなりスムーズになっているのがよく分かったこと、あとはトルクが非常に太く感じられるようになったように思います。

これだけやってもらっても施工時間は2時間、シャシダイは6回ほど回して、ガソリンも3Lくらいの消費じゃないでしょうか。元のエンジンが持つポテンシャル以上にはECUセッティングで引き出せるわけではないけれども、限りなく実車で出せるベストにまで近づけていけるんだと感心しました。

緑の線が一番馬力が出たマップとなります
ピーク値が分かりやすいように拡大して印刷もしてもらいました。

メインで採用したのは薄紫のラインのマップです
1回目のパワーチェックでの値: 198.6jp=201.4ps
2回目のパワーチェック後の書換値:202.8hp=205.6ps
3回目のパワーチェック後の書換値:201.0hp=203.8ps
※いずれもクランクシャフトでの推定値

Dynojetでは測っていないので正確には分からないけれど、前回、Dr.SUDAさんで測ってもらった結果では175.4ps出ていたので、後軸で180ps前後は期待できるんじゃないでしょうか。

3.書換内容

ZX-10Rにはパワーモードが3つあるわけですが、以下のように書き換えてもらいました。ベースとなるのはMotoJPさんオリジナルのマップです(KRTのマップという話)。 Mode1=FULLパワーモード、Mode2=MIDDLEパワーモード、Mode3=LOWパワーモードが純正の割り当てですが、以下のように割り振って書き換えてもらいました。

Mode1:KRTマップベース (燃調は再書換2回目のトルクカーブも滑らかな一番最終仕様)
Mode2KRTマップベース (燃調は再書換1回目のマップ。馬力は一番出た仕様)
Mode3:ヨーロッパ仕様のMode3(LOWパワーモード)

レブリミットは上げることも出来るとは思うんですが、そのままです。実質FULLとMIDがほぼ一緒ですが、2つのマップを走りながら試してどちらが自分の好みに合うかも探っていきたいと思います。 

あとはこれは特筆モノだと思うんですがアフターファイヤーがほぼゼロになりました。

4.新型ZX-10R(RS型)について雑談など 

書換を終えて、MotoJPさんと新型のZX-10Rについても雑談をしました。色々変わっている箇所はあるけれど、パワーに影響するのはカムが変わっているからだろうと。JK型10Rに比べ新型のRS型10Rはよりハイカムになっているようです。アイドリングもJK型に比べRS型は少々不安定、というかJK型でもアイドリングしているのが奇跡だと思うようなオーバーラップ取ってるのに更にハイカムでしょうし、この辺は仕方ないかもしれません。あとは計測してくれたNAP'Sのメカニックの方が、数値として200hp(英馬力)を超えてくる車体は2011-2012年式のJK型10Rでは珍しいとのこと(マイナーチェンジ後の2013年~2015年モデルではちらほらいるそうです)。

当たりエンジンを搭載している車両を引いたのか(前乗っていたZX-9Rもそう言われたので話半分に聞いておかないと、とも思いますけど)、回す時は回しているからそういうエンジンになったのかは分からないけど、人から言われると嬉しいものです。

春暖かくなってから富士の本コースで試すのが楽しみです。冬も走れるならトミンを走るつもりですよ。

2 件のコメント:

  1. 以前から拝見してましたが、おそらくナップス幸浦でECUを書き換えした際にご一緒しましたね。
    オートチューンでの燃調セッティングは興味があったので非常に参考になります。
    私も今年はサーキットデビューをすべく準備中です、これからもいろいろと参考にさせていただきますのでよろしくお願いします^^

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    1. ピクルスさん

      コメントありがとうございます。あの時は色々とお話し出来て楽しかったです。オートチューンをする前にはエアクリを変えたら少しギクシャクしてたんですがそれが無くなりトルクフルな感じです。

      ブレーキホース変えたんですね!ABS有りだとリアがやはり大変ですよね(^^;)このバイクでサーキットも楽しいので転倒に気をつけて楽しんで行けたらいいですね。

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